偽性痛風・石灰沈着性滑液胞炎・石灰沈着性腱炎
● 概念 (1)偽性痛風 関節液中のピロリン酸カルシウム結晶によってひきおこされる急性関節炎 家族発生例を除けば高齢者に多い 日本では女性に多い 無症状でX線像で関節内に石灰化が見られる場合は、軟骨石灰化症とよぶ (偽性痛風の前段階) (2)石灰沈着性滑液胞炎・石灰沈着性腱炎 ピロリン酸カルシウム結晶が関節周囲の軟部組織に沈着して起こる急性炎症 ● 症状 膝関節や足関節・手関節などに起こる 痛風と同様の急性関節炎発作を示すが、発熱や全身倦怠感などの全身症状を伴うことが多い 関節液貯留はほとんどの症例にみられる 症状は数日から1週間で軽快することが多いが、慢性の経過をとる症例もあり * 石灰沈着性滑液胞炎は肩関節や股関節に多い * 石灰沈着性腱炎は肩関節腱板に多い 局所の腫脹、熱感、ときには発赤を伴い、著名な圧痛と運動制限が存在 ● 診断 偽性痛風では、X線像で関節内に軟骨の石灰化が存在し、 関節液中にピロリン酸カルシウムの結晶を証明できれば診断確定 白血球数増多、CRPや赤沈の亢進 痛風や化膿性関節炎との鑑別が必要 石灰沈着性滑液胞炎・石灰沈着性腱炎では、X線像で肩関節や股関節周囲に 特徴的な石灰沈着を認める ● 治療 偽性痛風ではNSAIDを投与し、関節液を排除 ステロイド剤の関節内注射が効果的だが、化膿性関節炎を否定できないときは禁忌 石灰沈着性滑液包炎・石灰沈着性腱炎でもNSAIDを投与 石灰巣の穿刺・吸引を行って、ステロイド剤を注入すると、症状は劇的に改善