血友病性関節症
● 概念 血友病は伴性劣性遺伝(患者は全て男性)で、生まれつき血液凝固因子が 欠乏している疾患で、凝固因子が正常の1%以下の重症、あるいは1~5% の中程度では、幼少時から関節内出血を繰り返し、これが滑膜増殖を引き起こして 慢性炎症となり、最終的には二次性の変形性関節症となる ● 症状 関節内出血の好発部位は膝・足・肘関節、次いで股・肩関節 初発部位は足関節が多い 発症初期の関節内出血では強い疼痛を伴う急性関節炎症状を呈する 出血を繰り返すようになると慢性関節症となり、滑膜の肥厚増殖のため 関節腫脹が主体となる 末期になると変形性関節症のため、可動域制限、変形、拘縮を起こし、 最終的には強直となる ● 診断 軽微な外傷で出血を繰り返す場合は、血液凝固系の検査 第Ⅷ因子あるいは第Ⅸ因子の低下があれば、診断は確定 X線像では、典型的な変形性関節症の所見を示すが、小児期から慢性炎症が 存在するため骨端部の広範な肥大を示すのが特徴的 ● 治療 関節内出血に対しては、凝固因子の補充療法 家庭内治療医よって、早期に治療を行うことによって、関節症の程度を軽減できる 関節内出血の回数を減らすため、装具療法が行われる 末期の変形性関節症に対してはヒアルロン酸製剤の関節注射も効果あり 関節破壊が強く、日常生活動作に支障をきたす場合は、人工関節置換術や関節固定術 が行われる