強直性脊椎炎(AS)
● 概念 仙腸関節や脊椎の病変を主体とし、股関節・肩関節などの大関節にも慢性炎症を起こし、 最終的には進行性の関節強直をきたす疾患 その炎症の場は、関節リウマチと異なり腱付着部に存在し(腱付着部炎)、 靱帯が骨化するために強直にいたる 発症年齢は10歳代の後半から20歳代が多く、男性に多い ● 症状 腰痛、背部痛、臀部痛の運動制限、深呼吸時の胸部痛、股関節や肩関節の痛み、 アキレス腱や膝蓋腱などの腱付着部の絵痛みが主症状 痛みは安静時痛が主体で、運動により軽快する 診察時には、頸椎・胸腰椎の著明な可動域制限と運動痛を訴える 胸郭運動制限の有無は、呼気時と吸気時の胸囲を比較することで判断 仙腸関節に圧痛があり、仙腸関節にストレスを加えるNewton testなどでは陽性 ● 診断 ニューヨーク基準 A.診断 1.臨床基準 a) 運動により改善し、安静によって改善しない3ヵ月以上持続する腰痛 b) 矢状面、前額面両方における腰椎可動域制限 c) 年齢、性別によって補正した正常値と比較した胸郭運動制限 2.X線基準 両側のgrade2以上の仙腸関節炎、あるいは一側のgrade3~4の仙腸関節炎 B.等級 1.definite AS:X線基準と、1項目以上の臨床基準を満足する場合 2.probable AS: a) 臨床基準3項目を満足する場合 b) X線基準を満足するが、臨床基準が一つもみられない場合 * 強直性脊椎骨増殖症(フォレスティエ病)との鑑別が重要 →発症年齢が高いこと X線像で大きな骨棘がつながるASとは異なる強直像を示す 仙腸関節に病変がないこと HLA-B27が陰性であること によって鑑別できる ● 治療 もっとも重要な治療法は適切な運動療法 これによって疼痛やこわばりを軽減し、不良肢位強直を予防する 全身運動がよく、とくに水泳が推奨されている 薬物療法は、NSAIDによる対症療法が主体であるが、ステロイドは通常は効果がない