くる病
● 概念 ビタミンDの欠乏または活性化障害によるカルシウムとリンの吸収障害、 腎でのリン再吸収障害により、軟骨・骨基質への石灰化障害をきたし、 膠原繊維(コラーゲン)からなる骨基質すなわち類骨の増加が生じる *骨軟化症が骨端線閉鎖後に発症するのに対して、 くる病は骨端線閉鎖以前に発症したものと定義される 小児では、骨端軟骨で肥大軟骨細胞層の石灰化が起こらず、軟骨細胞が不規則に増殖し 膨隆するために成長障害や骨格変形が起こる 現在では食生活の改善によりビタミンDの欠乏によるものはまれとなり、 ビタミンD抵抗性くる病が増加している ● 症状 低カルシウム血症を伴う場合では、筋緊張の低下をきたし、 歩行開始の遅延や歩行障害を認める 歩行開始後にはO脚、X脚など下肢での高度の変形を生じる X線像では 骨幹端部の横径拡大flaring、骨端軟骨との境界不鮮明化fraying、 杯状変形cupping、四肢長管骨の彎曲を認める ● 治療 薬物療法では病型によってビタミンDの投与量が異なる 低リン血症性ビタミンD抵抗性くる病ではリン酸製剤の併用が必要 下肢変形に対しては装具療法や矯正骨切り術の適応